ダライ・ラマ法王14世による序文
自然界は私たちの家であり、私たちが生きる場所なのです。
ですから、私たちはそれを大切にしなければなりません。
ヒマラヤ地域はアジアの中心部に存在しています。アジア大陸の巨大な河川のいくつかはそこに源を発して、数億人の人々の生命と生活を支え、大陸を取り巻く遠くの海に注いでいるのです。
ですから、チベットの脆く、壊れやすい自然環境は、河川の流域に住む多くの人々を含めて、広い地域に強い影響力を持っているのです。
色彩豊かな絵本『Save the Himalaya〜藤田理麻の不思議な冒険〜』の中で、藤田理麻さんはヒマラヤ地域の重要性と、その地域が今直面している色々な問題や脅威に焦点を当てています。
絵本はチベット語、英語、日本語の三ヶ国語で書かれているので、幅広く、多くの読者に読まれ、より多くの人々がヒマラヤ地域の現状を知り、地域の自然環境保護、保全により多くの努力が傾注されることを、私は心から願っています。
ダライ・ラマ
２０１１年５月１８日
リチャード・ギアによる序文
私のチベット高原への最後の訪問になった１９９３年の旅行の記憶は、今も私の脳裏に克明に刻み付けられています。
限りなく広がるチベットの空の下で、それまで私が見たこともないほどに鮮やかに光り輝く山々に囲まれた高原の広大な自然環境の豊かさは、その比類なき美しさと共に、疑いようもないものであったのです。
その訪問の直後、私は再びチベットを訪れることを禁じられたので、その時のチベットの美しい姿を、私は心の中に今でも持ち続けています。しかし、その高原の姿は、今変わりつつあります。過度な森林伐採や工業化、鉱物採掘のため、チベットの汚れのない大地と、アムダーヤ、インダス、ガンジス、ブラマプルタ、イラワディ、サルウイーン、メコン、揚子江、黄河、そしてタリムなどのアジアで最も重要な河川の源流のいくつかの存在が脅かされていて、流域に量り知れない危機がもたらされようとしています。世界の人口の５分の１が、この高原に源を持つ河川の恩恵を受けていることを考えると、１４億の人たちがこの地域の気候変動の影響にさらされるのです。私は絵本『Save the Himalaya〜藤田理麻の不思議な冒険〜』が、あなたやあなたの友人が、地球上で最も貴重な資産のひとつである「偉大な雪の大地、チベット高原」を守る手立てを見出すことに心を奮い立たせ、行動を起こす力になることを切に願っています。
リチャード・ギア、２０１１年３月
ニューヨークにて